2021年4月時点では日本の法定通貨の仮想通貨は存在しませんが、日本の中央銀行となる日本銀行は、その可能性を検証するため実証実験を計画していました。
本記事ではその状況と進捗について紹介していこうと思います。
Contents
日本銀行によるデジタル通貨の実証実験について
✓実証実験の状況と計画
2021年4月5日、日本銀行が中央銀行デジタル通貨(CBDC:Central Bank Digital Currency)の基本的な機能や具備すべき特性が技術的に実現可能かどうかの検証が開始されました。
これにより、法定通貨の暗号資産化が現実味を帯びてきました。
※日本銀行では、CBDCを発行する計画は ”現時点では” ありません。
ただし、法定通貨として発行するとした場合、少なくとも下記の3Stepを踏むとのことです。
そのStep1に関して1年かかるようで、その後2Stepを踏むため、日本銀行によるデジタル通貨の発行があるとしても何年もあとになりそうです。
Step | 開始時期 | 終了時期 | ステータス |
---|---|---|---|
Step 1 | 2021/4/5 | 2022/3 | 検証中 |
Step 2 | 2022/4 | 未定 | 未着手 |
Step 3 | Step2完了後必要と判断された場合 | 未定 | 未着手 |
Step 1 :
概念実証フェーズ1 で技術的に実現可能かどうかの検証Step。
システム的な実験環境を構築し、決済手段としてのCBDCの中核をなす発行、送金、還収等の基本機能に関する検証。
Step 2 :
概念実装フェーズ2 で周辺機能検証Step。
オフライン決済機能 / 匿名性の確保 / 付利、保有上限・利用上限の適用 / 外部システムとの連携 / セキュリティ対策 / 匿名性の確保 / CBDCへの取引情報の付加 / CBDCへのプログラマブル性の付与 などの機能拡張の実現性や、容易性についての検証。
Step 3 :
パイロット実験を行うStep。
Step 1,2によりCBDCの必要性が高いと判断された場合に実行される。
このStepでは実際に民間事業者や消費者が参加しての実験も検討される予定。
✓中央銀行デジタル通貨の想定される発行形態
CBDCで想定される仮想通貨の発行形態は、ビットコイン等と異なり、現在の日本銀行券(円)と同じような構成での発行が想定されるようです。
金融庁に登録されている仮想通貨取引所などもこの民間事業者に含まれ可能性もあります。
✓中央銀行デジタル通貨が具備すべき基本機能
CBDCに必要とされる機能についても、既に方向性はある程度検討されており、下記のような機能をサポートできるべきであると考えられている。
この中でも、ユニバーサルアクセスに関しては、「カード等の簡便性」も含まれ現在のクレジットカードまたはプリペイドカードのような使い方も視野に含まれているようです。日本ではまだ普及は3割弱となっているマイナンバーカードを使用した支払い等ももしかしたら視野に入るかもしれません。
また、CBDCは、仮想通貨の世界像で紹介している、「仮想通貨」の性質を持つものを対象としているようで、「トークン」などはこのスコープには入っていないようです。
参考:中央銀行デジタル通貨 関連公表資料