SC-FDMAとは

LTEのUplinkで採用されているSC-FDMAについて調べてみたのでその概要を。

最初に端的に言ってしまうと、LTE Downlinkで採用されているOFDMAではデータ自体が各Resource Element(RE)に割り当てられるのに対し、SC-FDMAでは複数のデータシンボルをまとめて離散フーリエ変換拡散(後述)し、得られた信号を各Resource Elementに割り当てる、という違いとなる。

この、「複数のデータシンボルをまとめて」の処理によりOFDMAシステムでPAPRが高くなってしまう現象を抑制している。

※OFDMAシステムでPAPRが高くなってしまう原理についてはこちらで紹介している。

それでは、SC-FDMAのSymbol生成方法から説明していく。

■1)SC-FDMA Symbol生成

今回はQPSKを用いて説明する。

QPSK変調は、上図のような4つの信号であらわされる。下図では、上図であらわされている信号を時間軸上で組み合わせて行き、SC-FDMA Symbolの元になる信号を生成していく。(上図と下図で色が同じ物が対応する信号となる)

今回は、8個のData symbolでSC-FDMA Symbolを生成する例を表している。ここでいうData SymbolはLTE Downlinkで各REに割り当てられるData symbolに相当する。

ここで、時間軸上で連結して生成したSC-FDMA Symbolの元になる信号をFFTし周波数成分に分離する。

各周波数成分に分離された信号をREにMAPPINGし送信周波数までシフト処理する。

※ここで、REにMAPPINGされる信号は8個のData Symbolの情報が全て含まれているが、REにMAPPINGされる信号自体は意味をなさない(コンステレーションは現れない)信号となる。(時間軸上で異なる位相のData symbolを連続させて連結しているため、周波数は一様とならない)

SC-FDMAの各REにMAPPINGされるSymbolはこのように生成されるが、MAPPINGされたSymbol1つだけではData Symbolの取り出しは出来ず、送信帯域幅すべてのREのSymbolを用いて求めることになる。

■2)IFFT

ここで、各REにMAPPINGされた信号をIFFTを行い時間軸上の送信信号へ変換する。元々、Data Symbolを時間軸上に連結して生成しているのでIFFT後のPAPRがOFDMのように高くなることはない。(元のData symbolのPAPRと同じ(らしい。。))

■3)CP付加

IFFT後の送信信号に、CPを挿入する。これにより、シングルキャリア送信のようでもOFDMの優れている点のマルチパス耐性のある通信方式を実現している。

※時間軸上でData symbolを連結しているのでCPを挿入しても前半の方のData Symbolへは効果がないように思う方もいると思うが、CPは受信信号のサブキャリア毎のREにMAPPINGされているSymbol(全Symbolの情報の一部が含まれるSymbol)に対して効果を発揮する為、それらのCP長の効果が反映されたSymbolをIFFTし時間軸上へ連結した信号を取り出すので、Data Symbolへも効果が反映されることになります。

■おわり

このように、OFDMのメリットを有しつつ、その欠点でもあるPAPRが高くなることによる電力消費が大きくなる事を抑えられる通信方式となる。